もやべ 「阿蘭先生、
前回の『カルシウムパラドックス』について詳しく聞きたいのですが。」
阿蘭先生「前回はカルシウムの吸収阻害に話を絞ったから、『カルシウムパラドックス』についてはサラッと流しましたからね。」
もやべ 「え~と、まず『パラドックス』というのは、どうゆう意味ですか?」
阿蘭先生「大雑把には『矛盾』ということになりますが…前提条件から推論された結果に対し、現実の結果は前提条件から受け入れがたい結果であること…を指します。」
もやべ 「すみませーーーん、訳わかんないです。ヽ( ̄^ ̄)ノ オテアゲ」
阿蘭先生「前提条件はカルシウムが充分摂取されています。この前提に対し『骨』はどうゆう状態であると思いますか?」
もやべ 「『骨』はカルシウムがシッカリしており、骨密度が高いです。」
阿蘭先生「しかし現実の結果は『骨』のカルシウムがスカスカの骨粗鬆症である、ということです。」
もやべ 「なるほど。それに付け加えて前回お話された『血管などの本来はカルシウムが蓄積してはいけない細胞にカルシウムが固定されてしまう』ということなんですね。」
阿蘭先生「さらに付け加えると腎臓結石もカルシウムを摂り過ぎるとできやすいと思われていました、実は…。」
もやべ 「カルシウムが不足すると腎臓結石ということでしょうか?」
阿蘭先生「ご名答!」
もやべ 「で、『カルシウムパラドックス』の原因となるのがマグネシウム不足ということなんですね。」
阿蘭先生「はいはい、ここまでで前回までの復習ですね。」

もやべ 「では、改めて…マグネシウムはどのようなモノですか?」
阿蘭先生「マグネシウムとカルシウムは性質がよく似ており、骨形成に欠かせませんし、カルシウムと同じように骨に貯蔵されています。」
もやべ 「ではマグネシウムが足りなくなると、カルシウムと同じように骨から取り出すのでしょうか?」
阿蘭先生「そのとおりです。それとよく似た成分同士ではそれぞれのレセプターに代わりに入ることが出来ます。」
もやべ 「レセプターとはどんなものですか?」
阿蘭先生「日本語では『受容体』と言います。体内で微量の成分が結合する部位ですが…例えるなら鍵穴ですね。」
もやべ 「と、なるとカルシウムやマグネシウムが鍵ですか。」
阿蘭先生「そうです。鍵が鍵穴に入れば、ちゃんとドアが開く…つまりマグネシウムが入ることで体の中での働きがちゃんと機能します。」
もやべ 「『ドアが開く』イコール『体の中での働き』というわけですね。」
阿蘭先生「そうです。しかし似た物のカルシウムがマグネシウムが入るべき鍵穴に入ってしまい、マグネシウムが入れなくなってしまうのです。」
もやべ 「その言い方だとマグネシウムが入るべき鍵穴にカルシウムが入ってしまい、ドアが開かない、ということみたいですね。」
阿蘭先生「ご名答!ちゃんと体内で働かなくなります。しかもマグネシウムがあぶれてしまいます。」

もやべ 「あぶれたマグネシウムは…体外へ排出ですか?」
阿蘭先生「排出です。そうなるとマグネシウムが足りなくなります。足りなくなると貯蔵していた骨から出します。さて、ここで問題が起きるのです。」
もやべ 「どんな問題ですか?」
阿蘭先生「骨からマグネシウムを取り出すとき、カルシウムも一緒に取り出されます。」
もやべ 「体の中でマグネシウムとカルシウムはどれくらい量に差があるのですか?」
阿蘭先生「成人の体にはカルシウムは約1kg存在しますが、マグネシウムは約25gにすぎず、その差は40倍以上です。
そのうちカルシウムの99%、マグネシウムの約60%は骨にあります。骨の中の比率は約66倍の差ですね。」
もやべ 「なるほど。血中でのマグネシウムがどれくらい不足しているかはわかりませんが……
この比率から考えると骨からマグネシウムを取り出すときにカルシウムが大量に流出みたいですね。」
阿蘭先生「そうです。こうなると血中カルシウムが多くなるのですね。そしてここでもマグネシウムの働きが問題になるのです。」
もやべ 「また問題ですか。問題山積ですね。 ヤレヤレ ┐(´~`;)┌ 困ッタネェ」

阿蘭先生「そうですね。マグネシウムの働きのひとつで細胞膜のイオンポンプがあります。」
もやべ 「細胞膜のイオンポンプですか。中学校の理科で習いましたね。」
阿蘭先生「では、覚えてるんですね。飛ばして次にいきましょか。」
もやべ 「阿蘭先生、中学の理科で習ったという事と、覚えているというのは別物ですよ!」
阿蘭先生「威張っていうことか?! イオンポンプというのは細胞の中から、カルシウムを細胞の外へ出す働きですね。」
もやべ 「ご名答!」
阿蘭先生「……放っといて次にいきましょうか。で、マグネシウムにはイオンポンプの働きに関与しています。」
もやべ 「えーと、マグネシウムが不足しているとイオンポンプが働かない……カルシウムが細胞内に貯まってしまう、ということでしょうか。」
阿蘭先生「そのとおりです。で、カルシウムの細胞内での働きで筋肉の収縮というのがありましたね。」
もやべ 「『
イライラするなら……』のときに言ってましたね。」
阿蘭先生「で、このカルシウムが貯まった細胞が血管を形成する平滑筋細胞の場合は、当然血管を収縮させますね。」

もやべ 「怖い話になってきましたね。これって動脈硬化ですね。」
阿蘭先生「そうです。このようにしてカルシウムを充分摂取しているのに、骨スカスカ、血管の細胞にカルシウムが貯まり収縮して動脈硬化という流れになります。」
もやべ 「これが『カルシウムパラドックス』のメカニズムなんですか!」
阿蘭先生「じゃあ、次いこうか。」
もやべ 「(・ ・。)え? まだあるんですか?」
阿蘭先生「はい、ありますよ。今回の話のオマケみたいなもんですが。」
もやべ 「オマケ話とはどんなワクワクエピソードですか。o(^^)o ワクワク」
阿蘭先生「ワクワクじゃなくゾクゾクですね。マグネシウムには動脈を弛緩させ血圧を下げる働きもあります。」
もやべ 「ゲッ!まとめるとマグネシウム不足による動脈硬化に加え、さらにマグネシウム本来の働きである動脈弛緩と血圧降下がない、ということですね。」
阿蘭先生「ゾクゾクする話ですね。」
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